岐阜市の「Y&M 藤掛第一病院」(藤掛陽生(ようせい)院長)で、8月26日から28日にかけて、入院中の80歳代の男女5人が、熱中症の疑いで相次いで死亡した事件が発生しました。
病院に入院中なのに、熱中症の疑いで死亡とは、どういうことなのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
引用:朝日デジタル
目次
事件の概要
岐阜県警は28日、岐阜市一番町の「Y&M 藤掛第一病院」で入院中だったいずれも80代の男性2人、女性2人の計4人が亡くなった、と発表した。4人が亡くなった当時、病院のエアコンが故障していたという情報があり、県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて死因などを詳しく調べている。
引用:朝日デジタル
病院のエアコンが故障して、入院部屋の室温が高いままになり、それが原因で、4人が亡くなってしまったのではないかとのことです。
この4人については、1人は3階に、3人は4階の別々の部屋に入院していたそうです。
そしてさらに、、、5人目の方が亡くなってしまいました。
県警によると、28日夜、男性の成年後見人(52)が岐阜中署を訪れ、発覚した。亡くなった男性は24日から入院しており、28日午後6時40分ごろ、死亡したという。検視の結果、外傷などはなかった。5人目の死亡について、病院からの連絡はなかったという。
引用:朝日デジタル
ここで、事件の経緯を解りやすくするために、時系列で見てみましょう。
8月20日に、病院3、4階のエアコンが故障しました。
26日午後8時40分 | 女性(84)が死亡 |
27日午前3時5分 | 女性(85)が死亡 |
27日午前10時35分 | 男性(83)が死亡 |
27日午前11時37分 | 男性(84)が死亡 |
27日午後8時30分 | 関係者から岐阜県警に通報 |
28日昼 | 県警が4人の死亡を発表 |
28日午後 | 岐阜市が立ち入り検査 |
28日午後6時38分 | 男性(84)が死亡 |
28日午後7時55分 | 県警が殺人容疑で病院を家宅捜索 |
29日未明 | 県警が5人目の死亡を発表 |
15時間くらいの間に、4人死亡ですよ!
亡くなった方々は、みな、エアコンのきかない3、4階の部屋だったということです。
また、5人目の死亡について、病院から県警への連絡はなかったというのですが、なぜ、連絡しないのでしょうか。
連絡の必要がないと思ったのでしょうか。
追記:過去にも何度かエアコンの故障があったそうです。
エアコンは説置から15年経っており、業者は配管や室外機など修理することを故障のたびに病院にすすめていたとのこと。
ですが、修理はされないままだったようすね。
修理の経費を捻出するのは、難しかったのでしょうか。
患者達が亡くなった原因は?
藤掛院長は病院前で取材に応じた。院長によると、今月20日に3、4階のエアコンが故障し、業者に修理を依頼した。「約1カ月かかる」との返事で、すぐに扇風機9台を出して、対応したという。その後、重篤な患者や希望者は冷房の利いた部屋に移したが、死亡した4人はそのままの部屋にいたという。
引用:朝日デジタル
エアコンの故障により、3、4階の部屋の温度が高いままでした。
亡くなった4人は、26日夜から27日午前にかけて相次いで死亡しました。
いずれも、エアコンがきかない部屋にいましたから、熱中症により死亡した可能性があります。
また、5人目の方は、死亡時にはエアコンの利いた2階にいたそうですが、当初、エアコンの利かない3階に入院していました。
エアコンの利かない3階にいる間に熱中症になり、その後、死亡した可能性があるようです。
当時の現場付近の気温は?
当時、現場付近はどのくらいの気温だったのでしょうか。
気象庁によると、岐阜市では20日以降、最高気温が30度以上の真夏日が続いた。21日以降は最低気温が25度以上の熱帯夜だった。
岐阜県警によると、4人は26日午後8時40分~27日午前11時37分に死亡した。岐阜地方気象台によると、20日以降は太平洋高気圧が張り出す日が多く、気温が下がりにくい状態だった。岐阜市の26日の最高気温は36・2度。27日の最低気温25・9度、最高気温は36・8度で、両日は気温35度以上の猛暑日だった
引用:朝日デジタル
エアコンが壊れた20日以降、岐阜市では最高気温が30度以上の日が続き、21日以降は、夜も最低気温が25度以上の熱帯夜だったようです。
ずっと暑い日が続いていたのですね。
この高い気温の中で、しかも、病気を患っている入院患者の方々が、クーラーもなしに過ごすことは、想像しただけで過酷です。
ベッドの上で、じっと寝ているだけでも暑いですよね。
しかも、病院はコンクリートの建物ですから、夜でも熱がこもって、温度が下がらないと思われます。
寝ることができませんね。
Y&M藤掛第一病院はどんな対応をしたのか?
高温への対応
エアコンの修理に業者から「約1カ月かかる」との返事があったため、扇風機9台を出して、対応したそうです。
重篤な患者や希望者は冷房のきいた部屋に移したとのこと。
ですが、死亡した4人は、そのまま高温の部屋にいたのです。
各部屋は10畳ほどの広さで、そこに家庭用の扇風機が1台置かれました。
扇風機は、無いよりはあった方が良いとは思いますが、高温をかき回すだけですよね。
しかも、家庭用の扇風機であれば、業務用の物ではないのですから、風力が弱いです。
他にもっと有効な手段があったように思われますが、、、。
院長のコメント
この件に関して、藤掛陽生(ふじかけようせい)院長へのインタビューがあります。
引用:朝日デジタル
Q(以下、記者からの質問)亡くなった人は重症だったのですか?
A(院長の回答)COPD(慢性閉塞性肺疾患)の気管支喘息、あっという間に亡くなる病気です。
恐ろしい。
その人は若い時に、タバコをもの凄くのんでいた。
ですから、やっぱりタバコはひどいね。
Q 急変してもおかしくない病状だったのですか?
A そうですね。
Q 今月20日の(エアコン故障)までは、皆元気だったのですか?
A 意識はある人もいたけど、ない人もいた。
Q 転院という手段はなかったのですか?
A うーん、ちょっとそこらへんはね、、、。
Q 病室の移動については?
A 患者さんの中には、暖かい部屋、暑い部屋がいいという人もいるのでその人達は残った。
コメントをどのように感じられましたか?
以上の院長のコメントをみますと、故意なのか、不注意で意識が向いていないのかはわかりませんが、熱中症と今回の死亡は無関係(過去のタバコによる喘息が原因等)、又は、患者の意思で暑い部屋に残ったので病院には責任は無いと言いたげな感じがします。
曖昧な院長の態度も、事の重大さをあまり感じていないように見受けられます。
実際、病院としてはエアコンの故障と死亡の因果関係は否定しています。
ですが、短い時間に5人も亡くなって普段とは違う、と思わなかったのでしょうか。
普段と異なるのであれば、その原因がエアコンの故障と因果関係があるのではないかと考えないのでしょうか。
それとも、今までも、こんな頻度で、患者が亡くなっていたのでしょうかね。
Y&M藤掛第一病院はどうすればよかったのか?
このように、エアコンが故障し、すぐに修理出来ない場合、病院としてはどうすればよかったのでしょうか。
ある医師は次のように言っていました。
・エアコンのある部屋に全員を移動させる。患者の意思よりも、患者の体調を管理する医師の判断が優先。
・別の病院に転院させる。
・扇風機だけでなく、保冷剤、冷風機などを効率よくつかう。
・医師による、1~2時間おきの検診で、熱中症の有無を判断。
このような細かい注意や意識が、この病院にはあったのでしょうか。
そもそも、夏の前に、故障など無いように、エアコンの点検、メンテナンスはしていたのでしょうか。
人の命を預かる病院ですから、万一の場合も考えて予め準備をしておくべきだと思いますが。
Y&M藤掛第一病院はどんな病院なのか?
慢性期患者(長期に療養が必要な患者さん)が対象の療養病床が119床あり、介助が必要な高齢者を治療する「老人医療」が専門だそうです。
現在、約50人が入院していたとのこと。
評判は、いろいろあるようです。
どんな患者も受け入れてくれるといった、良い評価のもの、病室が狭くて詰め込んだ感じがするといった、悪い評価のものもありました。
場所は、岐阜駅から約1.5㎞、徒歩20分くらいの所にあります。
ネット上の反応
病院は患者の命を預かる場所、停電、設備、空調等、危機管理が特に必要な場所と思う。故障に至った経緯、危機管理マニュアル有無、日常管理等から、きちんと調査が必要と思う。#藤掛第一病院 #エアコン故障 #熱中症 https://t.co/SgJ6dpPG1z
— wonder land (@sekaino_owari__) 2018年8月29日
何人も熱中症疑惑で亡くなった病院の、殺人容疑での捜査って場合によっては病院関係者が死刑になる場合あるって言ってる人いたけど、ここの病院関係者ぜったいそこまで考えてあんな対応してないよね。
どう思うんだろうね。
後悔したって遅いのに。— しゃうたんKリプ凄く遅いマン (@shautan39) 2018年8月29日
岐阜県の病院熱中症死亡事故、刑事事件になってる。。
— なゆた/カガミ@干物海月/中越 (@mad_AUGC) 2018年8月29日
まとめ
通常は、エアコンが利かない部屋で熱中症により死亡した可能性ということで、業務上過失致死の疑いで捜査するのですが、今回は、警察は殺人容疑で家宅捜索に入っています。
つまり、短時間の中での死亡者の数の多さなど、この事件を重視しているからでしょう。
病院の態度とは真逆のような慎重さを感じます。
今後、どのように捜索が続くのか、注目されます。